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国立大学法人群馬大学 理工学部・大学院理工学府
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お知らせ

【プレスリリース】酷暑の夏、「ローラワンWBGT計」で子どもたちの熱中症対策 太田市内全ての小中学校で暑さ指数計測支援

プレスリリース資料はこちら

群馬大学太田キャンパス(群馬県太田市)では、子どもたちの熱中症対策に向けて、太田市内小中学校での「WBGT(暑さ指数)計測」に協力してきました。太田キャンパスが独自に開発した「ローラワン(LoRaWAN:超低電力・超長距離ネットワーク)」による「WBGT(暑さ指数)計」を、ひと夏をとおして、太田市全域という広大なエリアで、一斉かつ面的に運用しました。このような事例は過去に例がありません。その成果について現場の小中学校の先生方にアンケートを行い、使い勝手・効果・これからの課題についてまとめましたのでご報告します。

安心して暮らせるまちづくりに向けて

「ローラワン」は、通信速度は遅いものの、電波が届きづらい山中、電源がとれない田んぼの中、校庭の片すみなどで、様々なセンサとやりとりできる通信規格です。センサは一度電源を入れれば数年間稼働する超低電力です。西田進一助教を中心とする太田キャンパスITチームでは、ローラワン温湿度計のデータからWBGTを算出するアルゴリズムを独自開発しました。任意のPCやスマートフォンからWBGTをリアルタイムでモニタリングできるほか、その値が危険値を超えると先生方にアラートメールを自動配信する機能も持たせました。このたび太田市教育委員会の全面的なご協力で、この「ローラワンWBGT計」を、太田市内全小中学校へ配付し、ひと夏をとおして実際に運用し、その使い勝手・効果・これからの課題について貴重な知見を得ることができました。群馬大学の研究リソースが安全に暮らせるまちづくりに少しでも貢献できれば幸いです。

左:WBGTセンサ外観
右:リアルタイムデータと過去履歴(太田キャンパスの例)

 

1.⼩中学校の先⽣⽅の声(有効回答33校(80.5%))

●ローラワンWBGT計は役に⽴ちましたか︖

● ローラワンWBGT計のメール通知システムは役に⽴ちましたか︖

● ローラワンWBGT計のグラフ表⽰は役に⽴ちましたか︖

● ローラワンWBGT計の使い⽅は簡単でしたか︖
● 他の⾃治体の⼩中学校にオススメしますか︖

<ご意⾒・ご要望についての⾃由記載欄(代表例.原⽂ママ)>
・ローラワンWBGT計のおかげで計測が効率よくできて⼤変感謝しています。ウェブでのグラフ表⽰について、 ⽇付と時間を⼊⼒してピンポイントで数値が検索できると、さらに便利に使わせていただけると感じました。 ・WBGT計としては、「グラフ表⽰」が後の時間帯の数値を予測するのに⼤変役⽴ちました。メール通知は 送信回数が多く、もう少し条件を絞って送っていただけるとよいと思いました。
・ローラワンWBGT計のメール通知システムはありがたいが、1⽇1回(午前中と午後の2回とか)の通 知でも分かるので、1⽇に複数回来なくてもよいかなと思います。
・活動の判断根拠となり、⽣徒の安⼼安全につながったと思います。ありがとうございました。情報発信の回 数の検討していただくか、31以上も32、33・・・・と上がるようなら知りたいと思いました。たいへんありがとう ございました。
・数値の読み取りが不安定な気がします。説明通りに設置しましたが、連絡が来たり来なかったりして、結 果的にWBGT数値をいつも使っていた数値計を使って計測して判断していました。設置の仕⽅に問題が あったのか、機械そのものの不具合があったのかもよくわかりませんが、現状は補助的に活⽤していた状況で す。
・室内にいながら数値がわかることは便利ですが、数値31前後の時は特に、実際に校庭に出て、⽇差しや ⾵の状況を感じて判断することも⼤切なのではないかと考えます。
・学校で使っている測定器よりも⾼めに出てしまうようです。

● アンケート結果から、(1)ローラワンWBGT計が有効に機能したこと(2)簡単・容易に運⽤でき たこと(3)アラートメールも有効であったことがわかります。⼀⽅で(4)メール送信頻度や設定値 については各校ニーズによるカスタマイズが必要であること(5)⼀部の学校では電波状況が必 ずしも⼗分でなく運⽤に課題があったこと(6)WBGT値が⾼めに出ることが読み取れます。
● アンケート結果を踏まえ、来年度はアラートメール配信条件のカスタマイズ機能追加、電波の 届きづらい地域の確認と対応などについて検討を進める予定です。また、ローラワンWBGT計 の値が⾼めに出ることは複数の学校のデータで確認しています。室内に置かれていた計測器を 校庭に持ち出して計測する場合、環境温度に⼗分になじむまで20分程待つ必要があります。 このことが常時屋外におかれているローラワンWBGT計との差を⽣む原因となった可能性もあ ると考えています。 使い勝⼿・効果・これからの課題については上記の通りです。来年度以降は、各学校での⾃⽴運 ⽤に移⾏していきたいと考えています。

2.本件のポイント

● 本事業は「群⾺⼤学と太⽥市の相互友好協⼒に関する包括協定書(平成19年2⽉19 ⽇)」に基づき、太⽥市、ものづくり研究機構、群⾺⼤学太⽥キャンパスの連携によって実施 しています。
● 超⾼速・超⼤容量通信「5G」の対極にあるのが、超低電⼒・超⻑距離通信ネットワークの「Lo RaWAN(Long Range Wide Area Network)」です。「5G」基地局が1機約1億円 で通信距離100メートル程度なのに対し、「LoRaWAN」基地局は1台約10万円で10km 先のセンサとも通信可能です。
● 通信速度は遅いものの、電波が届きづらい⼭中、電源がとれない⽥んぼの中、校庭の⽚すみ などで各種センサが使⽤可能になります。⼀度電源を⼊れれば数年間稼働する超低電⼒で す。
● 総務省関東総合通信局「地域デジタル基盤活⽤推進事業」に採択され、総務省と太⽥市の ⽀援により市内に基地局20機(太⽥市17機,群⾺⼤学3機)を整備しました。いまや太 ⽥市内全域をカバーするネットワークが構築されています。
● 群⾺⼤学太⽥キャンパスでは、温湿度センサのデータからWBGTを算出するアルゴリズムを独 ⾃開発しました。WBGTが危険値を超えるとアラートメールを配信する機能も付与しました。 太⽥市内であれば、ただ置くだけで、⼈に代わってセンサが休まず計測を実施してくれます。 3. 本件の背景 令和7年6⽉1⽇に改正労働安全衛⽣規則が施⾏され、「WBGT28度以上または気温31度 以上の環境下で連続1時間以上または1⽇4時間を超えて実施が⾒込まれる作業を対象として 死亡に⾄らせないための適切な対策の実施」が必要となりました(※1)。
今年も⼤変な酷暑が 続きました。熱中症対策のための「環境省熱中症予防情報サイト」がありますが(※2)、広域 データのためあくまでも「⽬安」です。ピンポイントかつリアルタイムでの情報提供が⼤変重要となりま す。LoRaWANは、これまで⼈間が多⼤の労⼒を費やして⾏ってきた作業を、広域に配置された 膨⼤な数のセンサによる⾃動監視に置き換える画期的な技術です。群⾺⼤学太⽥キャンパスで は、太⽥市との連携を深めながら、安⼼して暮らせるまちづくりに向けた取り組みを推進してまいり ます。
(※1)https://jsite.mhlw.go.jp/kagoshima-roudoukyoku/content/contents/2025-0418-7_pamphlet.pdf
(※1)https://www.mhlw.go.jp/content/001476823.pdf
(※2)https://www.wbgt.env.go.jp/graph_ref_td.php?region=03&prefecture=42&point=42266

本件に関するお問い合わせ先

太田キャンパス事務室  
TEL:0276-50-2231
E-MAIL:kk-kogaku10[a]ml.gunma-u.ac.jp ※[a]を@に変えて送信してください。
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