2025年12月17日に群馬大学桐生キャンパスで開催された、日本機械学会関東支部群馬ブロック「研究・技術交流会2025」において、大学院理工学府知能制御プログラム・マイクロナノ工学研究室所属の学生2名が、その優れた研究成果を評価され受賞しました。
優秀講演賞を受賞した博士前期課程2年の内海剣さん(群馬県立渋川高等学校出身)の研究は、「狙った細胞を逃さずキャッチする、自在に形が変わる“ふるい”」のような技術です※1。血液などの様々なサイズの細胞が混ざった液体から、特定の細胞だけを傷つけずに取り出すことができます。独自の設計(メタマテリアル)により、装置の穴の大きさを自由に変えることで、欲しい細胞だけを捕まえたり、後からまとめて回収したりすることを可能にしました。将来、がん細胞の早期発見や高度な血液検査への応用が期待されます。
また、ビジネスフロンティア賞を受賞した博士前期課程1年の橋本大河さん(群馬県立太田東高等学校出身)は、「手のひらサイズの化学検査・分析装置(マイクロ流体チップ)を、安く、早く、必要な数量を作るための新しい製造法」を提案しました※2。これまでは試作に時間がかかっていた精密な樹脂製チップを、最新の微細加工技術(3Dリソグラフィ)と射出成形を組み合わせることで、短期間で効率よく作ることに成功しました。この技術は、新しい医薬品の開発や、現場ですぐに結果が出る診断キットの普及などを後押しする成果です。
これら研究は、JSPS科研費JP23H01363、JST大学発新産業創出基金事業 スタートアップ・エコシステム共創プログラムJPMJSF2319、および、群馬大学重点支援プロジェクトG2等の支援を受けて実施されました。研究グループでは、今回の受賞を励みに、医療やバイオ分野の発展に貢献するマイクロ・ナノサイズの「ものづくり」をさらに追究し、最先端技術の社会実装を目指してまいります。

博士前期課程2年の内海剣さん 博士前期課程1年の橋本大河さん
※1 「細胞のサイズ選択的な捕捉とバルク回収のためのメカニカルメタマテリアル」内海剣、髙田裕司、田中有弥、鈴木孝明(群馬大学)
※2 「リソグラフィ加工した樹脂鋳型によるCOP射出成形と流体チップのラピッドプロトタイピング」橋本大河、小此木孝仁、髙田裕司、小此木智美、鈴木孝明(群馬大学と株式会社Labokoとの共同研究)