

- 2016年 3 月
- 群馬大学工学部応用化学・生物化学科卒業
- 2018年 3 月
- 群馬大学大学院理工学府理工学専攻 博士前期課程 物質・生命理工学教育プログラム修了
- 2021年 3 月
- 群馬大学大学院理工学府理工学専攻 博士後期課程 物質・生命理工学領域修了 博士号取得(理工学)
- 2021年 4 月
- 群馬大学高度人材育成センター
- 2022年 4 月
- 九州大学大学院工学研究院応用化学部門 特任助教
- 2024年12月
- 理化学研究所創発物性物性科学研究センター 研究員
- 2025年 1 月
- 東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻 特任助教(兼任)
研究の面白さに魅了され、やりがいを感じていました。自分で思いついた仮説を証明するために、自分で計画を立て、予想通りの結果が得られることにワクワクしていました。研究室での自律的かつ協力的な研究活動が、自分にはマッチしていたのだと思います。より技術を磨き魅力的な研究を創成したいと思い博士課程へ進学しました。
実験することが好きだったので、その日にやることを前日にリストアップし、夜遅くまで研究にのめり込んでいました。一方で、1人で出来る研究には限度があるので、研究室メンバーとの実験やミーティング、議論を重ねてチームとして活動することも意識していました。その結果、修士課程に在学していた時よりも濃密な時間を過ごすことができ、論文発表や学会で賞を獲得することに繋がりました。
修了後はアカデミアの世界に飛び込み、現在は光化学とマテリアル化学を融合させた研究を行っています。学生時代は光化学を基盤としたケミカルバイオロジーの研究を行っていましたが、異なる分野を学び、自分のやりたい研究を高度なレベルで実現したいと思い、新しい発見を目指しています。
自分は研究に向いていないと思っていても、いざ実践してみると自分なりの面白さに気付く瞬間がいくつもあります。研究活動を遂行できる能力を身に付ければ、どんな社会でもそれは自分の武器になります。博士課程の3年間は長いようで短く、いろいろな経験が出来ます。少しでも研究がしたい、面白いと感じたら、研究の世界に飛び込んでみてください!


- 2014年 3 月
- 小山工業高等専門学校 物質工学科 卒業
- 2016年 3 月
- 群馬大学工学部 応用化学・生物化学科 卒業
- 2018年 3 月
- 群馬大学大学院理工学府理工学専攻 博士前期課程 物質・生命理工学教育プログラム修了
- 2021年 3 月
- 群馬大学大学院理工学府理工学専攻 博士後期課程 物質・生命理工学領域修了 博士号取得(理工学)
- 2021年 4 月
- 日本学術振興会特別研究員PD (立命館大学 生命科学部) 採用
- 2024年 4 月
- 国立研究開発法人産業技術総合研究所 生命工学領域 細胞分子工学研究部門 研究員 入所
学部4年生の頃、研究室には博士後期課程在籍中の先輩が3名いて、学生生活や学位取得後のキャリア等を直接見聞きできる環境でした。身近にいる先輩方を参考にして自分の進路を考えていたため、博士課程への進学をひとつの選択肢として自然に捉えていました。しかし自分の能力に自信がなく、学費や生活費等の金銭的なことも憂慮していたため、進学には消極的でした。日々淡々と研究室生活を送る中、コツコツと実験を進めて結果を出し、学会で発表して研究者と交流することに楽しさを感じて、修士課程2年次には進学への興味が心配事を超えるようになりました。同時期に指導教員が大学や外部機関の助成制度の紹介を織り交ぜながら進学を強く勧めてくれ、小さな自信となんとかなる精神が芽生えて進学を決意しました。
私の研究内容は糖鎖と呼ばれる生体分子の化学合成でした。糖鎖の合成を達成するためには多段階の有機化学反応が必要ですが、対応する自動合成技術が普及されていないため各作業工程をマンパワーで行う必要がありました。私は焦らず着実に、かつ限られた時間のなかで効率的に結果を出せるように心掛けていた一方で、日々の食事休憩等でのラボメンバーとの交流の時間も大事にして過ごしました。また、年間で複数回の国内・国際学会に参加させていただき、発表を通して様々な研究者と非常に楽しく交流し、研究へのモチベーションとしていました。海外留学にも興味があり、博士2年次に官民協働海外留学支援制度「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」の助成を経てニュージーランドに7か月間研究留学し、海外の研究従事者の価値観に触れてきました。留学中にパンデミックの影響を受けて、留学計画や帰国後の群馬大学での研究室生活に多少の支障はありましたが、気持ちの浮き沈みが乏しい性格ということもあって、淡々と自分ができることを場面に合わせて実施し、無事に学位取得に至りました。
博士3年次の年度初めには、大学や国立研究所のような研究機関で生体膜上での糖鎖の生命現象を追究したいと考えておりました。幸いにも日本学術振興会特別研究員PDに採択され、生体膜脂質と糖鎖がご専門の先生(立命館大学生命科学部)に受入れを了承していただき、3年間勤務しました。任期終了後の次のステップとして、糖鎖を創薬や診断技術などに応用することで社会に貢献できる研究者像を目指していたのと、任期なしの職に就きたいという気持ちがあり、産業技術総合研究所のパーマネント型研究員に応募し、ご採択いただきました。
私にとって博士後期課程は、知識や実験技術などの専門的なスキルを磨くだけではなく、人間性も見直す貴重な時間でした。研究に没頭でき、研究に関わる人とのコミュニティに魅力を感じるようなことがあれば是非進学してください。最近では日本の博士課程進学者を増やすための取組みとして、給付型の奨学金制度や学位取得後のキャリア支援が充実してきているようです。金銭面や将来のことは憂慮し過ぎず、まずは指導教員や大学の支援課から積極的に情報を得て、活用を図ると良いです。良い師と仲間に恵まれ、充実した学生生活になることを祈っています。


- 2006年 3 月
- 群馬大学 工学部 材料工学科:中途退学(飛び級による大学院進学のため)
- 2008年 3 月
- 群馬大学大学院理工学府理工学専攻 博士前期課程 物質・生命理工学教育プログラム修了
- 2011年 3 月
- 群馬大学大学院理工学府理工学専攻 博士後期課程 物質・生命理工学領域修了 博士号取得(理工学)
- 2011年 4 月-
- 群馬大学高度人材育成センター(ポストドクター)
- -2013年 3 月
- 2013年 4 月
- 株式会社ADEKA 入社、有機系太陽電池に関する材料開発に従事
- 2016年
- 二次電池に関する材料開発に従事
- 2019年
- テーマリーダー
- 2022年
- 課長・主任研究員
- 2023年
- 室長(電池材料評価室)・バッテリースペシャリスト
受賞歴など(群馬大学)
- 学会発表賞:12件(ポスター賞:6件, 学生講演賞:5件, 他:1件)
- 研究助成取得:5件
- 論文発表:14件
- 特許出願:2件
受賞歴など(ADEKA)
- 産経新聞社主催 第36回 独創性を拓く 先端技術大賞 社会人部門 : 経済産業大臣賞(最優秀賞)
- 新化学技術推進協会 第22回グリーン・サステイナブル ケミストリー賞(GSC賞) : 奨励賞
- 高分子学会 第30回ポリマー材料フォーラム : 広報委員会パブリシティ賞
- 学会発表賞:5件
- 論文・雑誌・書籍発表:15件以上
- 招待/依頼講演・セミナー講師:15件以上
- 特許出願:50件以上
修士課程での研究をさらに深掘りして、より専門的かつオリジナルな研究を行いたい、そして世界に研究成果を公表したいという意欲に駆られ、博士課程への進学を決めました。群馬大学で得られることは多く、修士課程で習得しきれなかった知識・技術を先生方から学び取ることも進学理由の1つでした。また、短・中・長期的な様々な視点で将来を多角的に想像したときに、博士課程での経験が進路の幅を広げると考えました(実際に、博士課程修了時も、企業就職後の現在も、進路の幅は大きく広がっています)。
自身の着想に基づく研究で化学を発展させるため、勉強(知識強化)と研究(実験)[PDCAサイクル:Plan(計画), Do(実行), Check(測定・評価), Action(対策・改善)]を繰り返し行いつつ、後輩たちの実験をサポートする日々でした。自己評価だけでなく第三者評価からも研究者としての成長を感じながら楽しく博士課程生活を過ごしました。また、担当教授だけでなく、領域や大学の枠を超えた多くの先生方からアドバイスを頂きながら、基礎研究から産業寄りの開発(企業との共同研究を含む)まで、幅広く経験しました。さらに、多くの国内外での学会発表と論文執筆の機会にも恵まれ、世界トップクラスの研究領域に触れることができました。
博士課程修了後は、アカデミックと民間企業で進路を悩みましたが、群馬大学高度人材育成センターで2年間ポスドクを経験できたことで自身のやりたい事がクリアになりました。博士課程で習得した知識と技術を活かした「産業的な材料開発」を仕事にして、便利かつ豊かで持続可能な社会を実現したいと強く思い、ポスドク後の株式会社ADEKAへの入社を目指しました。
化学品開発のベースは材料科学に支えられ、化学品生産のベースは化学工学に支えられています。化学産業に欠かせない基盤能力を群馬大学の学部・修士・博士で学べたことは、大きな財産となっています。企業では様々な業務を経験することになりますが、化学と材料の本質を学んだ人はどのような仕事に対してものみ込みが早く、あらゆる場面でキーマンになっています。群馬大学は大変バランスの良い学び舎です。成長したいという意思を持ち、積極的に講義・研究に取り組めば、世界のトップと渡り合える力を着実に増強することができます。まずは興味を持ち、小さくても能動的なアクションを起こすことが第一歩です。広い視野で多角的に物事を見ると、日々の生活の中に多くのチャンスがあるはずです。群馬大学での貴重な日々を有意義にお過ごし下さい。将来、化学産業の発展の場でお会いできることを楽しみにしています。