デバイス上で‘素粒子’を探索して操る

新しい型の‘素粒子’の理論曲線

架橋超伝導ナノワイヤの例
APL,108,222601(2016)より)

超伝導は究極の省エネ技術として、近年医療技術から超伝導リニアの運行までひろがりを見せています。私の研究室では、コンピュータさらには将来の量子情報技術などの核心を担う可能性のある超伝導ナノワイヤに注目しています。また同時に、次世代半導体としての期待が高いカーボンナノチューブやグラフェンなどの炭素材料を用いたトランジスタの研究もおこなっています。ベースとなるのは、自然界のなかの普遍的な構造を見出したいという素朴な好奇心ですが、エレクトロニクスなどへの還元にも興味をもっています。これは半導体などの固体の中で新しい型の‘素粒子’を探索して操ることに対応し、素粒子物理学の文脈では日本のお家芸です。実際、私の超伝導の師匠(メンター)は湯川研究室出身で南部研で研鑽を積んだ南カルフォルニア大学の真木先生という方で(湯川先生は日本で最初のノーベル賞受賞者で、南部先生も素粒子から物性までひろく深い貢献のある研究者です)、末席ながらその流れに属して研究を進めています。そのように、私は理論物理学を背景としてもつ研究者なので、たとえていえばデザイナーです。一方、最近は実験のグループと共同で、それを実装することも重視しています。ここ数年は世界最小クラスの超伝導ワイヤやトップモデルというべき‘きれいな’(半導体では移動度が高いといいます)低次元炭素材料などを用いた研究およびそれらを基礎にしたハイブリッドデバイスのデザインを推し進めています。パリコレのように、世界で初めての斬新な提案を目指しています。コンセプトとしてはトポロジーなどの尖端の現代数学とも深い関連があります。実際、最近の研究は20年くらい前の私の基礎研究、つまりデッサンのようなものがベースになっています。巷でいう’今日役立つこと’は歴史のなかで反転することも多々あります。自然のなかの精緻を見逃すことなく理解することを目標に今日も土を耕すように研究を進め、鍬を入れる日々です。