洪水による河川地形の変化を予測・制御する

那賀川(徳島県阿南市)の航空写真 左右岸交互に砂州や流れの蛇行が見られる。この地形を洪水が作る「交互砂州」という。

コンピュータシミュレーションによる交互砂州の形成
 (青色が深い河底(侵食作用による)、赤色が高い砂州(堆積作用による)。水流は青色の部分をつなぐように流れるため、蛇行する。)

洪水による砂州と蛇行流路の形成
(下図はシミュレーション結果)

 河川には、運搬、侵食、堆積の3つの作用があることは小中学校で習っています。洪水のときには、とくに流水によって土砂が運ばれ、流れの力で河底や河岸が削られたり、また、運ばれてきた土砂が堆積して、河川の地形変化をもたらします。ときに、大洪水の時では、その作用が強く現れた結果、堤防が壊れて氾濫し、大災害をもたらすこともあります。一方で、洪水によって作り変えられる河川地形は魚類などの水生生物の棲み処となるため、自然豊かな川となるために必要な作用でもあります。洪水による河川地形の変化を予測し、制御することができれば、洪水災害を防ぐことができますし、河川の自然環境保全にとっても大いに役立ちます。
 そこで、私たちは、洪水によって河川地形がどんな変化をするかについてフィールドから観察し、そのメカニズムを、実験水路に砂を敷き詰めて水を流す水理実験や水の流れの物理にもとづいたコンピュータシミュレーションから検討します。そして、洪水による河道形成の予測と制御に関する研究を行っています。 なかでも、洪水によって「交互砂州」という規則的な河川地形ができると(図1、2)、水流が蛇行して堤防付近に洪水流が集中して衝突する場所が生まれ、そこでは洗掘や侵食が盛んに生じて堤防の破堤に至ることがあります。一方、交互砂州はふだんの流れの場の中で、「瀬や淵」という水生生物にとって大切な棲み処を与えてくれます。 したがって、この交互砂州の形成や変質を調べることがとても大切になります。