ミクロの世界を探る”光る分子”の開発

イリジウム錯体の発光

マウスの腫瘍からの発光

「ミクロの決死圏」という映画がありました。潜水艦に乗った人間が血管よりも小さくなって、血流とともに体の中を旅しながら人体の不思議を伝えてくれるというものでした。もし、人間の代わりに分子がレポーターになってくれたらどうでしょう。1個の分子の大きさは細胞よりもずっと小さいので、人体の中のどんなところへも入っていくことができそうです。こんな夢を与えてくれる分子として、“蛍光プローブ”と呼ばれる分子があります。これに光をあてると、その分子に特有の色の光を発します。この光を目印として利用すれば、細胞の内部のように本来は目に見えない世界の変化を見ることができます。つまり、蛍光プローブとは、蛍光を利用してミクロの世界を探索する機能をもつ分子です。私たちの研究室では、有機合成の技術を使って生体内で働く様々な蛍光プローブを開発しています。最近開発したイリジウム錯体と呼ばれるプローブを生体に投与すると、がん腫瘍の部分だけを光らせることができます。この方法は放射性物質を使わない新しいがん診断法として注目されています。