タンパク質の立体構造に基づく癌治療薬開発

作成したがん関連タンパク質の結晶

がん関連タンパク質の立体構造

 がんは、様々な要因により正常な細胞の増殖や分化、運動性に異常が生じることによって発症すると考えられています。国内では、約二人に一人ががんに羅漢し、約三人に一人ががんにより死亡しているという統計結果が報告されています。そのため、がんの予防と治療に役立つ新しい医学・薬学的な技術の開発が必要となっています。がんに対する新しい治療法を作り出すためには、正常細胞のがん化やがん細胞が別の組織に移動する仕組み(転移・浸潤)を分子のレベルで解明することが大きな手がかりになります。
 私は、がんの発症や転移・浸潤などの悪性化に関係するタンパク質の中で、細胞中ではたらいて遺伝子の発現や細胞の形態を調節するものに注目することで、新しい薬剤の開発に繋がる可能性を見出す研究をおこなっています。対象としているタンパク質は、複数のタンパク質の間で分子間相互作用を介するネートワークであるシグナル伝達経路を構築していますが、特定のタンパク質の過剰な機能発現が原因でがん化が発症しているケースが多く報告されています。私は、X線結晶構造解析と呼ばれる手法をもちいて、がんで異常が見つかっているタンパク質の立体構造を解析することで、機能の調節機構に異常が生じる仕組みの特定を試みています。今後さらに研究を重ねて、解明したタンパク質の立体構造情報をもとにがんに対する新規薬剤や薬効を評価する独自の実験システムを開発して、がん治療に貢献することを目指します。


  • 日本医療研究開発機構 次世代がん医療創生研究事業 平成28~29年 「Wntシグナル伝達に特異的な動的オリゴマーを標的とするがん治療法の開発」
  • 科学研究費補助金 基盤研究(C) 平成26~28年 「動的なヘテロオリゴマー形成による新規なシグナル伝達制御の構造基盤の解明」

化学・生物化学科

助教 寺脇 慎一
研究室URL : http://wakamatsu-lab.chem-bio.st.gunma-u.ac.jp/Wakamatsu-lab/Top.html