分子間相互作用と分子間振動ダイナミクス

COと結合した希ガス原子の運動の様子

 マイクロ波(電波)を用いて、原子や分子が集団を形成(分子クラスター)した時に発現する特異な振る舞いを研究しています。良く知られた例として、1ケルビン以下の極低温に冷却されたHe液滴で観測される超流動現象があります。これは液体のHeを冷却する事で、個々のHe原子が接近し、やがて原子のもつ物質波(粒子性と波動性の2重性に由来した、全ての微粒子がもつ波としての性質)が干渉し、多数の原子があたかも一つの原子の様に振る舞う現象で、微視的な量子現象を巨視的な世界で垣間見る事ができる興味深い現象です。この例のように、分子間に働く力は古典的なクーロン力よるものばかりでなく、量子効果の寄与も無視できません。どちらが優位に働くかは分子の種類や状況によって様々です。分子間に働く力を系統的に理解するための研究が様々な分野で活発に進められていますが、私達は微視的な立場、つまり分子レベルでその詳細を明らかにしようとしています。その出発点として、分子同士が出会った時に、それらの間にどんな力が働いて、その結果何が起こるのかを、電波を使って詳細に調べています(図参照)。分子間相互作用の本質を明らかにし、更にそれを制御できるようになれば、分子の異性化や化学結合の組み換えを意のままに制御する事が可能になると考えています。


  • キラル分子科学:高分解能分光による絶対配置決定の可能性、山田耕一、住吉吉英、分光研究、65巻、265 (2016)
  • Tree-dimensional potential energy surface of Ar-CO (論文内容:極性を持たない分子同士の間で働く分子間相互作用に関する研究), Y. Sumiyoshi & Y. Endo, The Journal of Chemical Physics, vol.142, 024314(2015)

化学・生物化学科

教授 住吉 吉英
研究室URL : http://www.sci.st.gunma-u.ac.jp/~y-sumiyoshi/