遺伝子の働きを制御する人工DNA

光る人工遺伝子
左;人工遺伝子のみ
右;人工遺伝子+標的遺伝子

様々な顔を持つDNA

 我々の細胞には約31億塩基対からなるDNA が二重らせんを形成して核の中に存在し、このDNA 上に約2万2千個の遺伝子(タンパク質情報)が載っています。これらの遺伝子は全てのヒトで同じ訳ではなく、微妙に異なった配列を含む部分もあり、また突然変異などで元の配列から変わってしまう部分もあります。さらには、これらの遺伝子の中には必要なときだけ働いて、そうで無いときには働きを止めているものもあります(例えば傷の修復に関係する遺伝子群)。

人工DNAを医療の現場に

 我々の研究室では、ケイ素を結合させることで非常に強力な発光を行う新たな蛍光剤を開発し、さらにこれを組み込んだ「光る人工DNA」を合成していますが、これは少し工夫を加えると、特定の配列を持つ遺伝子と結合して二重らせんを形成した時だけ蛍光を発することを最近見つけました。標的の遺伝子に1カ所の突然変異があると、蛍光はずっと弱くなります。これによって元の遺伝子から変異した部分の存在も見つけることができます。また特定のタンパク質と結合することを通じて、遺伝子の働きをコントロールできる人工DNAの開発にも取り組んでいます。このような人工DNAは癌やエイズなどの病気の治療にも繋がる可能性を持っています。我々の夢はいつかこうした光る人工DNAや、遺伝子の働きをコントロールする人工DNA が本当に医療の場で使われるようになることです。