ポリマー合成を利用した環境ナノ材料の開発

 リビング重合は停止反応など副反応が無いポリマー合成法であり,生成するポリマーの分子量を揃えることができ,精密な機能制御を可能にする有効な手段です.私達はこれまでに,合計20個以上の精密重合系を開発してきました.この精密重合の技術を基礎として,環境調整型(レアメタル・有害金属捕集ポリマー)や金属複合ナノ材料を開発してきました.
 レアメタルは,ハイテク製品の製造に欠かせない元素ですが,世界的に埋蔵量が少ないため,これらを回収し再利用することは重要です.これまでにポリマーを用いたレアメタルの回収が行われてきましたが,金属水溶液に溶けないため「回収能力の低さ」が問題となっていました.私達は新たに金属を吸着して水に溶けるポリマーを合成してレアメタル回収を試みました.その結果,効率良くレアメタルを回収でき,例えばパラジウムの回収の場合,ポリマー1 gに対して0.5~1.25 gのパラジウムを回収できる世界最高の回収能を有します.この研究成果は,第18回ポリマー材料フォーラムという学会でトップ9に選ばれ,日本経済新聞に掲載されて産業界からも注目を集めました.
 さらに,金属を回収したポリマーの有効利用として,ナノ材料への応用を研究しました.その結果,金のナノ粒子が分散したナノファイバーやパラジウムが分散したナノシートの合成に成功しました.現在は,合成したナノ材料の機能を探索しています.


  • 平成29年度科学研究費補助金(基盤研究C),高回収・高選択的レアメタル捕集ポリマーの開発と効率的メタン変換技術への応用, 平成29年4月~平成32年3月.
  • 平成22年度循環型社会形成推進科学研究費補助金(環境省), 都市鉱山からのレアメタルと樹脂成分のリサイクル-有機溶剤フリーでの完全リサイクルを目指して-, 平成22年4月~平成24年3月
  • 「レアメタル回収量6倍の吸着剤 群馬大が研究拠点」, 日本経済新聞, 2009年11月16日.

化学・生物化学科

助教 永井 大介
研究室URL : http://polymer.chem-bio.st.gunma-u.ac.jp/index1.html