「糖」の持つ機能を化学・生物学の力で明らかにする

超低温条件による糖鎖の合成反応

糖鎖の構造解析装置

 「糖」=ブドウ糖や砂糖,オリゴ糖など,食品としてのイメージが強いと思います。糖は食品としての機能以外にも,様々な生命現象に関与する生体情報分子としての顔も持っています。例えば,ABO式の血液型の違いが赤血球上にある糖鎖の形(構造)の違いであったり,ガンになると細胞表面にある糖鎖の構造も変化します。インフルエンザウイルスや細菌の感染も細胞表面にある特定の糖鎖構造を介して成立します。したがって糖の持つ機能を知ると新しい薬や新しい材料を作ることができます。実際に糖の機能を利用したインフルエンザの薬やガン細胞に特有の糖鎖を認識するガン診断薬も利用されています。
 私たちの研究室では,糖と糖をつなぎあわせる化学反応や酵素反応(グリコシル化とよぶ)を駆使して,前立腺ガンや免疫に関係する糖鎖,細菌と結合する糖鎖や神経細胞に作用している糖鎖など,興味深い機能が推定されている糖鎖の合成に取り組んでいます。
 私たちが合成した糖鎖を利用して,ガン診断薬や糖鎖不全症治療薬の探索など医療分野への貢献や,病原性細菌を除去するフィルターや新しい界面活性剤の開発など,世の中の役に立つ「新しい糖質関連物質の創出」を目指しています。


  • 論文:Top-Down Chemoenzymatic Approach to a High-Mannose-Type Glycan Library: Synthesis of a Common Precursor and Its Enzymatic Trimming(化学・酵素法による糖鎖ライブラリの効率的合成),Angew. Chem. Int. Ed., 52, 7426–7431(2013).
  • 著書:松尾一郎,有機合成による糖鎖の構築,糖鎖化学の基礎と実用化,小林一清/正田晋一郎 監修,シーエムシー出版(分担)p70-85, 2010.
  • 特許:新規糖供与体及びそれを用いた糖鎖の合成方法,松尾一郎,宮沢進平,国立大学法人群馬大学,平成25年5月15日.

化学・生物化学科

教授 松尾 一郎
研究室URL : http://matsuo.chem-bio.st.gunma-u.ac.jp/