「糖」の持つ機能を化学・生物学の力で明らかにする

超低温条件による糖鎖の合成反応

超低温条件による糖鎖の合成反応

糖鎖分子プローブによる疾患関連酵素の解析

糖鎖分子プローブによる
疾患関連酵素の解析

 「糖」=ブドウ糖や砂糖,オリゴ糖など,食品としてのイメージが強いと思います。糖は食品としての機能以外にも,様々な生命現象に関与する生体情報分子としての顔も持っています。例えば,ABO式の血液型は赤血球上にある糖のつながり方(糖鎖の構造)の違いであったり,がんになると細胞表面にある糖鎖の構造も変化します。インフルエンザウイルスや細菌の感染も細胞表面にある特定の糖鎖構造を介して成立します。したがって糖の持つ機能を知ると新しい薬や新しい材料を作ることができます。
 私たちの研究室では,糖と糖をつなぎあわせる化学反応や酵素反応(グリコシル化とよぶ)を駆使して,前立腺がんや免疫に関係する糖鎖や細菌と結合する糖鎖,神経細胞に作用する糖鎖など,興味深い機能が推定されている糖鎖の合成に取り組んでいます。
 私たちが合成した糖鎖を利用して,世界に50人しかいない希少疾患(糖鎖不全症:NGLY1病)治療薬の探索研究が始まっています。また、我々が作った糖鎖を積極的に利用して,前立腺がんや神経疾患などの医療分野への貢献や,病原性細菌を除去するフィルターや新しい界面活性剤の開発など,世の中の役に立つ「新しい糖質関連物質の創出」を目指しています。


  • A New Fluorogenic Probe for the Detection of Endo-β-N-acetylglucosaminidase(ENGase活性検出系の開発と酵素阻害剤の探索研究) ChemBioChem, doi: 10.1002/cbic.201700662 (2018).
  • Endo-α-mannosidase Catalyzed Transglycosylation(エンドマンノシダーゼ変異体をもちいた糖鎖合成)ChemBioChem, 18(14):1376-1378 (2017).
  • 著書:中分子創薬に資するペプチド・核酸・糖鎖の合成技術,千葉一裕 監修 シーエムシー出版(分担)p231-240, (2018).

化学・生物化学科

教授 松尾 一郎
研究室URL : http://matsuo.chem-bio.st.gunma-u.ac.jp/