コンピューター計算で探る分子の世界

 我々の身の周りにある物質が分子の集合体であり、更にそれらの分子は原子や電子等からなることは広く知られています。分子の構造や反応性は、構成要素の原子の性質、更に言えば原子核や電子と言った極微粒子に大きな影響を受けています。よって、分子の性質を理解するためには原子や電子などの振る舞いを調べることが必須であり、それらを取り扱うためには量子力学という20世紀に確立された新しい理論体系の力を借りなくてはいけません。
 私達の研究室では、量子力学の原理に基づくコンピューター計算から、これまでに無い新しい性質を持つ分子を予測したり、それらの分子が関わる反応機構の解明を目指して研究しています。主な対象は、ケイ素などの第14族高周期典型元素や様々な遷移金属元素を含む分子で、炭素を含む第二周期元素を主としたこれまでの化学理論を再考して更に深く理解することができます。また、この様な研究は新しい性質を持つ物質の開発の基礎にもなります。
 ちなみに、図に示した分子は未だ実験では見つかっていませんが、理論的には存在できることが分かっています。これらの分子はいずれも新奇な構造や性質を持っており、実際に合成する事ができればこれらを応用した新素材の開発にも繋がるかもしれません。


  • 平成23~27年文科省「エレメントイノベーションプロジェクト」
  • 平成27~28年三菱マテリアル株式会社との共同研究「Si-Si結合を有するSi,O,H三元素化合物の反応性に関する研究」
  • T. Kudo,* T. Taketsugu and M.S. Gordon, “Ab initio Molecular Dynamics Study of H2 Formation Inside POSS Compounds.2. The Effect of an Encapsulated Hydrogen Molecule”,J. Phys. Chem. A, 2016, DOI:10.1021/acs.jpca.6b07907.

化学・生物化学科

教授 工藤 貴子